この十年の内に石油が失われるとしたら、あなたはどうしますか?
ディヴィッド・ストローン著「地球最後のオイルショック」(新潮選書)を読んだ。
不勉強から「ピーク・オイル」論を今にしてはじめて知ったが、
恐ろしい真実に身震いが止まらなかった。
石油は有限の資源であり、いつか枯れるとは誰もが知っている。
だが、その日はまだ先だと思っている。
中東、北海油田、最近もブラジル沖で海底油田が見つかったし、
100年か、200年か、少なくとも自分が生きている間は無くならないだろうと。
それはある意味では正しく、ある意味では違うのだ。
原油は地中深くに存在し、地中の圧力によって噴出している。
だが噴出によって空洞が増えれば圧力も低下する。
自然に吹き上がってくるものを吸い上げるのではなく、
地中深くから汲み上げなければならない。
今日たくさん採ればそれだけ明日は採り難くなり、
当然、採掘コストは高まる。
採掘コストが原油価格よりも高くなれば、石油会社は赤字を抱える。
原油価格は上昇し、それでもカバーできなければ
原油がまだ残っていても油田は封鎖される。
一方で、石油需要はさらに増加している。
BRICsと言う言葉を聞いたことのある人も多いだろう、
新興経済国家、ブラジル、ロシア、インド、中国の頭文字だ。
ロシアはシベリアに大規模な油田、ガス田を持ち、
ブラジルはヴァーレ(世界第二位の鉱山開発会社)、
ペトロブラス(深海油田、エタノール大手)といった資源会社を持つが、
インド、中国は資源消費国として成長している。
これらの成長により、世界の石油需要は急激に上昇している。
今年に入ってのガソリン価格の高騰は先物投資が集中したこともあるが、
中東国家がイジワルしているわけでもない。
根本的には需要の拡大が原因だ。
だからガソリン、原油価格が低下することはない。
そして、このままのペースで進めば、
ついに2015年から2020年までの間に供給量を追い抜くと見られている。
その先にあるのは原油高の急騰、オイルショックだ。
しかも今度のオイルショックはこれまでのものと異なり、
原油供給量が横ばい、あるいは下降する中でのオイルショックだ。
まさに地球最後のオイルショックとなる。
(念の為、原油が完全に枯渇するわけではない。
原油は地球に存在する。だが、供給量が追いつかなくなる)
そうなればどうなるか?
例えばガソリンがリットル300円となったとする。
180円の今でも交通量が減少しているのだから、
自家用車を運転しようとする人は少なくなるだろう。
個人の趣味での運転ならまだしも、資源や原料の輸送も影響を受ける。
国内だけではなく、日本の製造業は海外からの資源輸入に頼っている。
車、飛行機、船、列車全ての移動手段で
鉄、石炭、ほとんどの資源に輸送コストが上乗せされる。
石油由来のプラスチック、ビニールも値段が上がる。
日本産業を支える自動車、輸送用機械、鉄鋼、化学、電子機器は
軒並み影響を蒙るだろう。
生活の基盤となる電力もそうだ。
日本は石油を原料としての火力発電所が主である以上、
電力価格の大幅な上昇も避けられない。
あらゆるものが値上がりし、消費は減少。
経済圏は縮小し、景気は悪化の一途。
大量生産、大量消費の時代は終焉を迎える。
脱石油、低炭素社会はエコのための理想ではない、
近い将来確実に訪れる現実だ。
政府は二酸化炭素排出量を2050年に60~80%下げると言っている。
だが、それでは遅すぎる。
衝撃を最小限にするには、あらかじめ準備し、
軟着陸の道を模索するしかない。
悠長な事を考え、また危機が遠いと言う現政府は当てにならない。
個人でできることはわずかだが、それでも対応を考え、実践すべきだ。
不要な消費を抑える。こまめにアイドリング・ストップを行なう。
電気・ガスなども使わない間はコンセントからプラグを抜く。
江戸時代に戻ることはできないが、学ぶことはたくさんある。
エコロジーを意識した生活を行なおう。
あと10年しかないのだ

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