「一番好きなアルバム」と聞かれると返答に詰まる。たくさんあるし、その時々の気分によっても違うから。
でも、「一番多く聞いたアルバム」ということなら、このアルバムになる。
最初に聞いたときはレコードだった。ラジオから流れてきた「WHERE THE STREETS HAVE NO NAME」![]()
に惹かれて購入した。惹かれて、というよりも引き込まれてといった方が正確かもしれない。海か砂漠を思わせる静かで広がりのある音に、ギターの音がカッティングが波立てるように始まる冒頭。
そのわずか15秒程度で、もう心が駆り立てられた。
長く美しく広がる音と繰り返しのリズムが空間を生み出し、ボーノの歌が高く、低く心を貫く。
「名前のない路で」、「君と一緒でも、一緒でなくても生きていけない」と矛盾するような、禅の偈のような歌詞にも惹かれた。実際にそういう心境を体験したとき、また曲の味わいが変わる。しかしラブソングさえも政治的、あるいは宗教的な響きがあるのは、さすがアイルランドというべきか。
今でも、一つ書き終えて、次の作品に取り掛かるときには必ずこのCDを聞く。ライブ映像を見る。彼らのメッセージや提起した問題は、まだ解決されていない。
それが僕を駆り立てる。彼らの歌は自らを振り返るための鏡であり、僕の志の根底となっている。

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